調査方法の紹介(和歌山県環境衛生研究センター)
和歌山県環境衛生研究センターでは、年度ごとに一河川を選び、上流から下流まで3から6地点について、夏冬の2回調査を行います(調査地点表)。
河川を決め、調査地点を地図上で上流から下流まで大まかに決めます。現地におもむき事前調査を実施します。調査を実施するのに適した水深がひざ程度までの早瀬または平瀬を探し、支流や大きい集落がある場合はそれらの影響も考慮して調査に適した場所を調査地点に決定します。本調査では現地で、気温、水温、流水幅、水深、流速、電気伝導率、濁り、においなどを調査します。以前は調査地点を特定しやすい橋などの近くを選ぶことが多かったのですが、現在では携帯型GPSがありますのでGPSで位置を特定し、記録しています。現地では同時に河川水を採水して、持ち帰って法律に基づいた正確な理化学分析(pH、SS、BOD、COD、全窒素、全リン、微量元素分析など)を実施します。生物はキックスイープ法という方法で採集します。これはDフレームネットというDの形をしたアミ(底部30cm、高さ25cm、網目約1mm写真)で、Dフレームネットを川底につけ上流川の石を蹴って、石の表面や底にいて流れてくる生物を捕まえる方法で、1分間を3回、合計3分間いろんな場所を蹴り回って生物を採集します。場所にもよりますがこの方法で1地点で500個体程度の生物が採集できます。採集した生物は大まかに落ち葉や石などと分けた後、刺繍用の枠に固定したガーゼに移し、水をきってから、数%のホルムアルデヒド溶液を加えて保存します。
持ち帰った生物はホルマリンが入っているので腐りませんから分類・同定作業を行うまで冷蔵庫で保存します。
分類・同定作業を行うときは、ホルムアルデヒドを専用の廃液タンクに廃棄し、また充分に水ですすいだ後(ホルムアルデヒド及びそれを含む洗った水は有害なので水道に捨ててはいけません。別途廃棄処理を行います)、生物と、落ち葉や石などを分けます。生物は腐らないように70%のエタノール溶液に移します。(ホルムアルデヒドに浸したまま分類作業を長時間行うと、蒸発したホルムアルデヒドが呼吸器官に入ったり、目などの粘膜を刺激して危険です。)生物は図鑑や文献などを用いて分類します。
それぞれの地点別に分類・同定作業を行った後、どの地点にどんな生物が何匹いたかを記録します。その記録から平均スコア値や汚濁指数などを算出し、河川の状態を評価しています。
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